◇新しくなった遺産分割のルール(令和5年4月1日改正法施行)
相続開始後10年が経過すると「特別受益の持戻し計算」や「寄与分」の主張ができなくなり、基本的に、法定相続分で遺産分割しなければなりません。 改正法の施行後は、特別受益や寄与分の主張をしたい相続人は、相続開始後10年以内に遺産分割をしないと不利益を受ける可能性があります。できるだけ速やかに遺産分割協議を終わらせましょう。
・特別受益の持ち戻しとは : 相続人の中に、被創相続人から遺贈を受け、又は婚姻や養子縁組のため、もしくは生計の資本として生前贈与を受けた者がある場合、これらを控除した残額をもってその者の具体的相続分とする制度
・寄与分とは : 相続人の中に、被相続人の事業の関する労務の提供や被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加につき特別の貢献をした者がいる場合、その分を加算して同人の相続分とする制度
◇相続登記の義務化(令和6年4月1日改正法施行)
所有者不明土地の問題に係る民法・不動産登記法の改正により相続登記の義務化が始まります。*違反者には10万円以下の過料が課されます。
・いつから : 令和3年4月28日(公布日)以降に発生した相続に適用されます。
・いつまでに : 1.施行日(令和6年4月1日) 2.自己のために相続開始があったことを知り、且つ、不動産の所有権を取得したことを知った日 の1・2のいずれか遅い日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
但し、相続紛争等の事情で期限内に登記申請できない場合の救済措置(相続人申告登記制度)もあります。
また、住所を変更した場合に行う住所変更登記のが義務化されます。(施行日:令和8年4月1日から)
相続登記は、長期間登記をせずに放っておくと、相続権のある人が次第に増え、遺産分割協議を整えることが困難になるおそれがあります。 また、権利関係の複雑化にともなって、登記手続きに多額の費用と時間がかかる可能性があります。 お早めに登記されることをお勧めします 。